私は音楽が大好きです。中学生の頃にアルゼンチンからの帰国生と同じクラスになり、親しくなり彼の家に行ったら、リビングにあるクラシックギターが目にとまった。「ギターやるの?」と聞いたら、「自分はやらない。親父のだよ」と言うから、さすがと思った。自分の親がギターやる姿は想像すらできないことを思うと、長年外国暮らしをしてた彼の父親はきっとおしゃれで、洗練されてて夕暮れ時にはウィスキーを飲みながらソファにもたれて哀愁あるギターを爪弾くんだろうなあと想像をたくましくした。
「レコード聞く?」って言うからどんな曲を聞いてるのか興味津津で「うん、是非聞いてみたい」って言うと何枚か取り出して、その内の1枚を彼がかけると、どこかで聞いたことのある、妙になつかしい気持ちになり、だんだんその曲を聞いた頃の場面が蘇ってきた。
間違いない、小学校に上がる前くらいに、夕方になるとラジオからよく流れてくる曲だった。
あの時以来ずっと聞いてなかったけど、この曲が好きで、あの頃はよく口ずさんだものだった。思わず彼に「これ何て曲、誰がやってるの?」と質問したら、彼はそこまで興味が無いらしくレコードのジャケットを渡して見せてくれた。「ザ・ベンチャーズ」「ダイヤモンド・ヘッド」
これが私とザ・ベンチャーズとの二度目の出会い(直接ではないけど)だった。
その帰り道に私は、すぐに家の近くにある楽器店でシングル・レコードを1枚購入しました。
「ザ・ベンチャーズ/ダイヤモンド・ヘッド」です。家に帰ると何度も聞きました。本当に何度も何度も。その後もシングルを何枚も買いましたが、ある日学校帰りにその楽器店に立ち寄ると15周年アルバムと題してLP3枚組が出てるのが目に止まりました。もうどうしても欲しくなりました。しかしLP1枚の値段でも買えないからシングルを1枚1枚買ってきた私にとってはLPが3枚も入ったアルバムを買うことは無理だとすぐにわかりました。でも、でも、どうしても欲しいという気持ちはこのときは静まりませんでした。今すぐは無理でも金を貯めようと思いましたが、それでも何ヶ月かかかってしまう。どうしようかと思いながら歩いていると、新聞配達が目に止まりました。何人かつてを辿ってると近いうち空きができるから紹介するという話をもらいました。私は親にバイトが決まったから、必ず返すからと必死で頼んでお金を借りて、すぐに買いました。それ以降はザ・ベンチャーズの曲を聞きながら、解説書を読むのが大きな楽しみになりました。このときはただ単にザ・ベンチャーズが好きっていうだけでしたが、この行為が後に色んな音楽に接する上で重要になるとは思ってもいませんでした。
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