ジョークに魅せられて

私は、ザ・ドリフターズの「8時だョ!全員集合」を見て育った。土曜のゴールデンタイムの放映には、家族全員で見ながらゲラゲラ笑って楽しかった。一家団らんの一時だった。
週明けの月曜に学校へ行くと、覚えたギャグをあっちでもこっちでも披露して、誰が一番笑いをとるか競ったりもした。小学校の頃の笑いと言えばそういうギャグが中心だった。

中学へ入りチョットした大人の雰囲気を意識してくると、急に今まで笑い転げてたギャグに対し時々批判的になったり、楽しめなくなってきた心境の変化を感じた。それと同時に今まで全く興味がなかったテレビでたまにやってる落語の小咄に夢中になってたり、ジョーク集などの本を買ってきて読み始めた。ある設定場面から始まり、そのなかで繰り広げられるストーリーが、こうなるはずという予想を覆して笑いになる展開の面白さに随分夢中になり、何十冊もの文庫本を買った記憶がある。

数あるジョーク集の中でも特に面白かったのが、アメリカンジョークとかイギリスジョーク、ユダヤジョークというふうに民族毎にまとめられたもので、これを読むと民族が違うと、ジョークの捉え方がこんなにも違うものかという発見があった。これは私の偏見に満ちた感想ですが、アメリカ人は陽気だとか、イギリス人は皮肉っぽいとか、ユダヤ人は頭がいいというイメージが出来てくるのです。ワタシ的にはユダヤのジョーク集はブラックユーモアがたっぷり詰まってて、それでいて品を保ってるという点で高評価でした。何度読んでも飽きません。
なんでも、ジョークのネタはすでに全部出ているそうで、時代や背景の設定をそれぞれの時代や背景に合わせてリメイクして受け継がれてきていると書かれていたのを読んだ気がします。沢山読んできた中で、今でも強烈に印象に残ってるのを最後に紹介します。だいたいこんな感じだったということで、細かい言い回しは勘弁してください。

ある村でとても仲のいい老夫婦がいました。そこで村人の一人がある日、たずねました。
「あんたら夫婦がケンカをしたり、怒鳴りあったりしてるのを一度も見たことがないし、いつもニコニコしてるのを見るとうらやましい。何か秘訣でもあったら、どうか教えてくれないか」と、
すると年老いた男が口を開き言うには、結婚式を終え、四頭立ての馬車に乗り込み、手綱をひいて新婚旅行に向かってたら、しばらくして先頭の一頭がよろめいたので、馬車を止め、馬の様子を確かめてから、戻ると「ハイ、一つ」と言って何事もなかったように馬車を進めた。ところがまた例の馬がよろめいたので、馬車を止め様子を見て戻りながら「ハイ、2つ」と言って、普通に馬車を走らせた。ところがまた例の馬がよろめいたので、今度は銃を取り出し、例の馬を処分して、残りの馬でまた何事も無かったかのように馬車を走らせようとすると、妻が「あなたって人は、なんてひどいことをするの!」と大声で叫びながら責め立てたので、
「ハイ、1つ」とワシがつぶやいたら、妻は急に無口になった。

 

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